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張り替え作業の実際

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ピアノ椅子

ナーサリーチェア
張り替え作業の実際
 まず椅子の張り替えでは椅子の座面を支えるものが必要で、ナーサリーチェアの時は椅子の裏側に太いベルトのようなものを縦横に交差させて面をつくりました。この作業は座面の基礎になるので道具を使ってすごい力でベルトを引いてしっかりと留めます。その時“アップホルスターとは力仕事なり”と悟ったのですが、私のやるピアノは坐る所に合板が張ってあってその作業をする必要がありませんでした。
 従っていきなりいただいたウレタンなどの2種類の詰め物のをサイズに合わせて切り落として、板の座面に置きました。そこにあらかじめ縫っておいた布をかぶせるのですが、いずれ薄くなってしまう詰め物ですからはじめはこんなにたくさんは無理ではないかと思うくらいすごく厚く重ねて入れますので、布をかぶせるのにまたしても大層な力仕事です。これでもかこれでもかと押さえつけて上に重しのための厚い辞書などをいくつも置き、布の2倍くらいにふくらんでいた詰め物をどうにか布の厚みまで縮めました。
 いよいよ難関の布を椅子に綴じつける仕事です。私は愚かにもかつてロンドンの教室でやったようにホッチキスの親玉の様なものでバンバンと打ちつければ良いと思っていたのに、何と椅子のその部分が金属の太い輪であることにその段階で気が付いたのです。
 布を金属につけるには強力な接着剤しかないと慌てて買いに行き、剥がれないことを願いってたっぷりつけました。そして太いゴム紐で何重にも巻いて押さえにしました。念をいれて二日くらいそのままにしてからゴム紐をはずしたのですが、無事に布がついている事が分かった時の嬉しさはかなりのものでした。
 おかげで椅子は屋根裏からリビングにあるピアノの傍に置かれて、壊れもせずに勤めを果たしています。ただし、その本来の目的を果たすのは娘が夏休みにやってきて、孫の楽器のレッスン時に伴奏を弾く時くらいなのですけれど……。




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