ツツジの甘い匂いに魅了されたのち、今度はジャスミンが咲きだしました。窓を開ける時や庭仕事をしていると、ふっと香りに囲まれているのに気が付きます。私はそのたびに幸せな気持ちになるのです。

　新築なって住んだ我が家の周りは、何軒ものよそさんの家の裏側が見えて、決して美しいとは言えない状態でした。庭のぐるりを樹木で囲うには時間がかかりすぎますので、思案の挙句に緑の壁を作ることにしました。お馴染の職人さんにお願いして、太いパイプを立てて横に上中下3本のパイプを渡してもらいました。植物の重みを支え、大風が吹いても倒れないしっかりしたものですから、足元はコンクリートで固めてあり色気も無くて実に不格好な姿でしたが、キウイやハーデンベルギア、白や黄色のモッコウバラなどをからみつかせ、一部にはちょうど手に入ったジャスミンもあちこちに植えこみました。そのジャスミンがかなりな壁を作って、花時にはいっせいにその香りをまきしらしたのです。

　もしこの香りが嫌いな人の所に届いたらどうしようと、私は密かに心配になってきました。香りに戸はたてられません。私は幸福感と心配を抱えながら、それでも充分にその香りを楽しんでおります。

　実はその緑の壁ですが、キウイは冬には葉を落としてその部分は醜いパイプが丸見えになります。冬に外部からの視線を遮りたくて常緑の植物を選ぼうとするのですがなかなか難かしくて、案外落葉する植物が多いことに気が付きました。ジャスミンは冬でも葉を茂らせるありがたい植物です。なお、ハーデンベルギアも同じ目的で利用しています。