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打ち水をみんなでしよう 打ち水は凄いです

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アクロス福岡のステップガーデン

キャナルシティ―博多のイーストビル
 打ち水と言うとなんだか和服を着たきれいな女性が手桶とひしゃくをもって、立派な和風の家の玄関から門のあ
たりに水を撒くイメージが湧いてきます。
 今どき打ち水をする人がいるかしらと思ってしまいますが、急に“打ち水”という言葉をおもいだしたのは、ド
ライトマトを作った時でした。

熱を蓄えるコンクリート
 それはトマトがすごい早さで水気を失った場所が二階のベランダであり、単なる日光と風のなせる技と言うより
も、この夏の異常な暑さがベランダの足元のコンクリートに熱を蓄えてしまっているからだと改めて気が付いたか
らです。四方を腰より高い壁で囲まれたベランダは、したがってすごい高温になっていました。その熱がトマトの
水分を奪っていったので早く乾燥したわけです。
 ならば玄関まえの石畳はいかがかと試みに手を置いてみたらやはり熱くなっています。昨年もこの夏も猛暑で、
昼間のみならず夜間の最低温度が下がらないのには参りましたが、こんなに家の周りで熱を溜めこんでいたのでは
冷える筈がないと納得しました。
 そこでおもいだしたのが“打ち水”です。

屋内を涼しくするのは良いけれど排熱は?
 気象情報が伝えられるたびに、『熱中症にならないようにクーラーを付けましょう』と気象台のお達しがくり返
されていましたが、なんだかしっくりこない助言でした。家の中を涼しくするのはいいけれど、では熱気が吐き出
される外はどうなるのだ? ますます高温になるばかりじゃあないかと、心から共鳴できる話ではありませんでし
た。
 で、打ち水をしました。まあ、多少の水を家のまわりだけ撒いたところで夜の気温が下がる程単純でないことは
分かっていますけれど、何もしないよりは気がすむというものです。
 ガラスで囲まれたコンサバトリーは夏の強い光で温度が上がりますが、よしずや植物、遮熱カーテンを利用した
りして温度の上昇が少なくなるようにしています。それをするかしないかでまるっきり温度が違うのは経験で実感
しています。ですから出来る限り私は日の沈むころに風呂の残り湯を撒きました。小さい孫たちが滞在していて極
端に多忙でしたから毎日という訳にはいきませんでしたけれど。

アフリカの砂漠に行った当初、暑さから逃れた方法
 もうひとつ思い出したのがアフリカに行った時の暑さしのぎの方法でした。
 フランスのパリから飛んだ飛行機は、暑さまっただ中の5月のマリ共和国に着いた時から熱気に包まれていました
。植林している砂漠の現場に仲間たちと向かう車のなかで、私はどうやってこの40度をこす暑さに立ち向かおうか
と考えてしまいました。
 で、結局その環境の中で思いついたのが水で濡らしたタオルを頭からかぶることだったのです。
 なんとも格好の悪いものだったでしょう。しかし、どこが道路なのかもはっきりしないような砂漠の真ん中を走
る車に乗り、どこにも逃げ場のない暑さから少しでも楽になれるには他に方法がありませんでした。時が経つうち
に身体が暑さに慣れて濡れタオルは最初だけで済みましたが、打ち水も濡れたタオルも言うまでもなく気化熱の利
用です。これは馬鹿にできません。

人類がもたらし、人類を滅ぼす?気候変動
「うちみず?そのようなことをやったって何ほどのもの?」
という声が聞こえてきます。
 そもそもこの温暖化は現代の人類の文明がもたらしたものであり、極端なことを言えば人類のそのものが滅びる
までは止むことがないのかもしれません。化石燃料をつかった車両はひっきりなしに走り、空には酸素を大量消費
する飛行機が飛びまわり、生産業の現場では猛烈なエネルギーが消費され、人口の集中した大都会は、高層のビル
で風の通り道をふさぎ、冷房の排熱でますます高温になり、道路は水を吸わないコンクリートのようなもので覆わ
れているのですからヒートアイランドになっています。
 今の生活スタイルを手放さない限り打つ手はなさそうです。
 それはたしかなことであっても、私は自らのエネルギー消費は自分の身体を使って少しでも減らしたいし、自分
にできる一寸した努力はやりたいとおもいます。自転車で行けるところは車を使わないとか、物の消費を少しでも
控えめにするとか、夏の室温は耐えられるときはなるべく30度にするなど。私の考えでは暑いところではその暑さ
に慣れるしかないのですから。
 そして対応策として打ち水がそのひとつです。ビルの壁を植物で覆ったり屋上庭園をつくったりなどもっと効果
の上がることはあっても個人ではできません。しかし自分の家の前やベランダだけでも打ち水をすれば、ただ冷房
のきいた家の中に閉じこもるだけではない夏の気のきいた過ごし方になるのではないかと。
 やはりこれは能天気な私の見る「真夏の夜の夢」かと思いつつ、来年の夏もきっと私は水をまくことでしょう。

●アクロス福岡のステップガーデン
 天神にある地上14階建ての公民複合施設で国際会議場やコンサート会場などを擁する。
 南の天神中央公園に面してつくられた大規模な屋上緑化の試みは時を経て自然の森の様に木々が育っている。
 屋上まで登るとはるかな展望が楽しめる。

●キャナルシティ―博多のイーストビル
キャナルシティ―博多の開業後(1996年)イーストビル(2011年開業)ができてその壁面には国内最大規模(3000平米)の壁面緑化が施されている。排気ガスの吸着分解に優れている常緑つる性植物で覆われている。(ウィキペディアによる)



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