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すごそうな野葡萄の酸素製造能力![]() |
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![]() 棚を下から見上げたところ ![]() ![]() ![]() 二階の窓から見たところ
殊のほか暑い夏でした。 地球温暖化の影響でしょうか?今後もこのような暑さは毎夏続きそうで、先がおもいやられます。 ところで、我が家の野葡萄は新しい棚の上に葉を広げて素晴らしい茂り方です。下から見あげてもそれほどとは思わないのですが、二階の窓から見下ろすと葉の茂り方の凄いのがよく分かります。このような葉っぱが茂った景色を見るとずうっと前に知った話をよく思い出すのです。 昭和40年代頃の事です。外来種のセイタカアワダチソウが日本の原っぱとか空き地、線路際、河原などのあらゆるところに繁茂しました。アメリカからの荷物にくっついてきて広まったと言われており、場所によっては数メートルの背丈にもなりました。そして日本古来の植物が駆逐されるかと恐れられ、やがてその花粉が花粉症の元になるという説が流れて忌み嫌われたのです。 後にそれは濡れ衣と分かりましたが、その嫌われ者のセイタカアワダチソウが茂ったところは、酸素供給が森林並みだという研究がある学者さんによって発表されました。余りに昔の話なので書物で知ったか新聞かほかの媒体で知ったのか思いだせないのですが、雑草ですら葉を茂らせればそのように効果があると知って夏草の茂った草むらを見るたびに、きっとたくさん酸素を出している事だろうと想像するくせがつきました。 地球上の酸素量は葉の茂る夏と落葉の冬では夏の方が多くなります。北と南の半球での空気中の酸素の数値を比較したのを書物で読んだのをはっきり記憶しているのですが、記録しておかなかったのでどの本とまでは分かりません。 私の参加しているNGOの活動場所であるサハラ砂漠南部(サヘル地域)に1989年5月に行くと決まった時に、砂漠や環境などのたくさんの本を読んだのですが、そのうちのどれかに出ていたのではないかと思います。 そこで野葡萄なのですが、果たしてこの写真でどんなに勢いよく葉を茂らせているか、おわかりになるでしょうか? 棚の下から茂った葉の表面までの厚みは見上げた目測で30から50センチほどあるようです。この棚の平面は、底辺5m高さが5mくらいの変形した三角形をしていて結構広く、その下はいつも涼やかな風が通っています。私は風の恩恵だけでなく、きっと酸素をたくさん出しているであろうとおもってうれしくなるのです。 「お宅のお庭に取り入れてみませんか」と話しても棚を作る場所がないと皆さんおっしゃいますが、緑のカーテンにするという方法もあるかもしれません。この実は口にできるような代物ではないのですが、その代わりに手入れのいらない日陰を楽しめるのです。 同じブドウでも道路に面したカ―ポートの屋根の下に茂っているナイアガラは美味しい実を付けていますが、葉については比較にならないほどにおっとりしたものです。ナイアガラはずっと大きい葉ですが数がすくないのです。野葡萄の方は、葉は小さいながらものすごい数を勢いよく伸ばしていきます。想像を絶する気温40度などという数字が聞こえてくる日本の夏のために、本当に野葡萄は適しているとおもいます。 とは言え、私がこのようなことを言うと弟の一人にいつも冷笑されます。私の思いは楽観的すぎるのです。堺屋太一氏の『団塊の世代』(初出1976年月刊誌現代)にこういうくだりがあります。 樹木が炭酸同化作用によって空気中の炭酸ガスを吸い、酸素を吐き出すことは事実だが、その量は百本の大木でも一軒の民家が出す炭酸ガスを吸収し得ない、といわれるほどに少ないのだから…… 一軒の民家の出す炭酸ガスの量といっても、人間の生体を維持するための呼吸に使われる量と、炊事をし、化石燃料をふんだんにつかった季節外れの野菜を食べ、快適に過ごすために冷暖房や温水を使い、近所に行く時まで車を使い、便利な工業生産された商品を使い捨てにし、おまけに地の果てまでもたじろがずに旅をする生活態度などなどを考えれば気の遠くなるような数字がでてくるわけです。 生活のレベルによっても大いに違うのですが、私は現代の生活をしながらそれでもなお『地球の温暖化』ということを意識するかしないかで世の中の状態はちがってくると思っているのです。そここそ楽観主義者のおめでたい考えといわれるのですけれど、それでもなお私は緑を増やし、車を使わずに行ける所へは歩いたり自転車を使う暮らしをしたいのです。 空を見上げてまるで『空がいつか落ちてくるのではないか』と憂えた中国の昔の人のように、人類の生存がそう遠くない未来に危機に見舞われると心配する悲観的な私と、木を増やして抵抗しているつもりの楽観的な私。“人”は所詮複雑なものです。 因みに、日本中を圧倒したセイダカアワダチソウですが、今は恐怖を与えるほどには茂っていません。 じつはそれには訳があるようです。彼らは根から周りの植物の発芽成長を阻害する毒素を出して我が身を繁茂させたまではよかったのですが、やがて自分がその毒素にやられて自滅をはじめ、あの騒ぎになった時のようには成長できなくなっているという話です。長い時間をかけてみないと本当のところはわからないことも多いものです。 ![]() |
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