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遂にイノシシの解体を体験(1)、「応援団長」とは?

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 穏やかな光がいっぱいの10月のある朝、電話が鳴って“応援隊長”の声がしました。
「今日の午後空いている?」
 彼はたまに我が家にお顔をみせてちょっとしたおしゃべりをしていきます。それもほとんど呼び鈴を鳴らすことはなく、いきなり庭に入ってきて家を回りこんで私たちの姿を探すのです。たまたまコンサバトリーにでもいれば私たちも来訪がすぐわかりますが、家の中で仕事でもしていると見つけられないこともあります。
まだ先代が存命の頃姑が親しくしていたお向かいの人がいきなり縁側のある居間の外まで入ってきて
「どげんしてるね?(どうしている?)」
と声をかけてきたのを思い出し、そうか、ここに住んでいるとそのような人様の訪れ方もありなんだと学んだものでした。大都会の『隣は何をする人ぞ』というお隣との距離とはまるっきり違うのです。それはそうでしょうね、何年もあるいは何十年も同じご近所でお付き合いしているのですから。正直に言えば、新参者のわたしにはかなりのカルチャーショックでした。
 隊長は私たちがここに新しい家を建てたときに、本人たちがまだ考えの及ばないテレビのアンテナをどうするか考えてくれて
「屋根でなくても二階のベランダで十分だな」
と、さっさと立ててくれました。
 その後コンサバトリーが出来上がると、こんどはどこから電源を取るか考えて、照明をつけてくれました。その時も私たち夫婦は至って能天気で、光のある昼間の利用しか考えずに明かりのことまで考えもしませんでした。もし”応援隊長“が率先してやってくださらなかったら、後日ようやく照明が必要だと気が付いたときに、いざどこに頼んだらよいのかと大騒ぎをしてしまったことでしょう。
 頂いた名刺には名前の下に“電工”とあるくらいだから、電気工事の技術をもっているのです。でもそれを本職にはしていなかったのですから多彩な能力を持っている方です。だから何か事があるととりあえず彼に声をかけてアドバイスをいただきます。時には金物の古ものを商っているお店の存在を教えてそこで必要なものを探してみなさいという助言だったり、またある時には我が家が必要としているものを自宅から見つけ出してもってきたり、自分の広い守備範囲を回るついでに目を配って放棄してあるものから適したものを見つけると “拾ってきて”私のその時のニーズを満たしてくれて、やりかけの作業が出来上がるという寸法になります。だいたいわたしのやり
たがる工事とは、庭の雨水の利用をどうするかとか、変な試みが多いものですからまともに業者さんに頼むほどでないものがよくあるのです。ですから彼の応援は大層ありがたいのですが、その応援は私たちにだけではありません。
 いつの間にか私は彼を密かに”応援隊長“と心の中で呼ぶようになりました。別に隊員が居るわけではないのですが、活動範囲の広い彼の周りで、例えば一人暮らしをしている老夫人のアッシー君をしてあげるとか、イベントなどで困っている会場ですかさず手を貸したりとか、なにしろ技術をもっているのでたいそうな応援になるのです。ここに住み始めて慣れなかった私たちに本当にありがたい応援を頂いたことは忘れられませんし、それは今でも続いています。−



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